鍼灸

統合医療制度化に向けた動き

前回のレクチャーで、日本において偏った「科学性」や既得権を建前にしてきたため、代替医療に対する積極的な認知が欧米諸国に比べかなり立ち遅れていること、海外では効果がないとされている治療が日本ではいまだ存在し、逆に効果がある程度の実証がなされた治療が導入されないといった、厚生労働省の対応不全について説明しました。

そのような現状の中で通常医療と代替医療を統合し、欧米諸国なみの医療制度を確立しようとする動きが1998年に渥美和彦先生(東京大学医学部名誉教授)らによってJACT(日本・相補・伝統医療連合)の開設によってはじまり、2000年にJIM(日本統合医療会議)が発足し徐々に加速度をつけてきました。

そして、2007年12月にJACTとJIMの統合が決議され、IMJ(有限責任中間法人日本統合医療学会:渥美和彦理事長)が誕生しました。

IMJはJACTに法人格を持たせるために設立され、CAM(代替医療)部門、医師薬部門、社会部門の3部門より構成されています。CAM部門を構成している分科会は現在のところ、伝統医療・鍼灸・ハーブ・健康食品・カイロプラクティック・ヨーガ・気功・温泉気候療法であり、これらはその効果がある程度立証されていて、世界的にも普及しているものです。カイロ部門は本学竹谷内宏明校長(JCA会長)にその代表権が委ねられ、不肖筆者も末席を与えられています。

IMJの設立意義を渥美理事長執筆の原文から引用すると、「世界の医学界において大きく発展を遂げつつある統合医療の、我が国における国際的な代表組織として大きな第一歩を踏み出したことになる。そして、我が国におけるこの分野の医学、パラメディカル、あるいは周辺の教育、研究、臨床における専門家集団を結集して、総力をあげて諸問題の対処にあたる組織が誕生したことになる。統合医療はいうまでもなく、近代西洋医学を中心として、伝統医学、相補・代替医療を統合し、患者中心の医療を推進しながらクライアントの疾病予防に努め、健康増進に寄与しようとするものである。」と述べられています。

この中で特記すべきことのひとつは、「患者中心」という言葉が表明されたという点です。この患者中心志向こそが、日本の医療行政の中で本質的に欠けていた概念ではないでしょうか。

東京カレッジオブカイロプラクティック副校長|村上佳弘

東京カレッジオブカイロプラクティック副校長、日本カイロプラクターズ協会顧問。

日本のカイロプラクティック創成期に尽力し、現在もカイロプラクティックの教育、政治、国際活動に奔走しています。

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